ファッション

半年に一度くらい、心のどこかから「オシャレになりたい」という気持ちがむくむくと湧いてきて、通販サイトを眺めたり、ファッションスナップを検索したり、粋な着こなし術を調べたりする。そうしていそいそと服を買いに行くのだけど、大体いつも一着か二着買うと満足してしまって、あとは適当な服で済ませてしまう。そういうわけで私のタンスには、どこで買ったのか、いつからそこにあるのかわからない服たちに混じって、少し高級でいかした服が居心地悪そうに眠っている。正確にはかつていかしていた服と言うべきで、服に愛着がない私は手入れもしないから、奮発して買った服もみんなかわいそうなことに今ではよれよれでそこにいる。

 

それで、今日がまさに「オシャレになりたい」シーズンのど真ん中で、また無駄になるんだろうなあと思いつつも、新宿まで遠出して服を買ってきた。買い物に行く前に、めったに服を買わないのなら落ち着いたデザインの使いまわせる服を買うべきだとアドバイスされたのだけど、洋服屋さんに行くとやはりなんとなくはしゃいでしまって、蛍光色の靴とか、変なアップリケのついたシャツとか、そういった使いづらそうなものを、色の組み合わせも何も考えずに買ってきてしまった。

 

たぶん私は、洋服とか靴とか鞄とか、とても好きなのだ。だから洋服屋さんに行って、洗練されたアイテムを見るのは楽しい。でも、自分に着られる服、似合う服というのはどうしても決まっていて、素敵な洋服を着た自分がちっとも素敵じゃないということはままある。全然好きじゃない服のほうが、自分を良く見せてくれる、ということもある。服を買う前に家でカタログを眺めたり、お店で色々見て回っているときはとても楽しいのだけど、実際着てみるとなんだかがっかりしてしまうことが多くて、それで洋服自体に興味がなくなってしまうのかもしれない。大人になりきれない。

 

さっき家に帰り着いて、買ってきた服たちを並べて早速ひとりでファッションショーを開催した。やはり、手持ちの服と今日買ってきた服たちはどうも馴染まない気がする。自分の顔や体型にもあっていない気もする。でもまあ、野球帽が似合わない野球選手がこの世に存在しないという事実から推察されるように、好きな服を着ているうちに、私の顔や体型や雰囲気がその服のテイストに近づいていくということもあるかもしれないので、しばらく頑張って着てみようと思う。